レストランで

12/17
前へ
/17ページ
次へ
(……やっぱり分からない、こんな小さなレストランを占拠する理由が……それに捕まらないだって? バカな、人質の命が無くなったら、もうここから逃げる手段など無い筈だ、ただのはったりなのか?)  どれだけ銃をこめかみに突き付けられようと怯える事も無く、ミストはひたすら現状の打開策を練っていた。  男は、一段落着いたとでも思ったのだろうか、さっきよりも落ち着いた様子で受話器を置いた。  そしてそれから何十分が立ったのだろう、室内は痛い程の静けさに包まれた。恐怖だけがこの空間を支配していたからだ。 ただ店の外だけが慌しくざわめき始めた。  野次馬が集まり、警察が店の周囲を囲み始めたのだ。 もう、この事件も佳境という事なのだろう。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加