0人が本棚に入れています
本棚に追加
それを聞いた強盗犯のリーダーは開き直った様に笑い始めた。
「あーそうだ、よく分かったな小僧」
「ふふっ、小説家ミスト・ヴァレーリを宜しくお願いします」
「だがな、お前に大声を上げる事が出来るかな?」
「ん?」
「それが分かったから何なんだ? 魔法を使おうとして呪文を唱えれば、店内の者全てが命の危険に晒されるんだぜ……お前にそれが出来るかな?」
「ふふっ、出来るさ……グラン!」
ミストの突然の呼びかけにグランは、瞬間的に走り出して1人の男の首を絞めた。さきほど机を蹴った男だった。
強盗団達も、ミストの話に夢中になっていた為、グランに拳銃を向けるのは遅れた。
そして手早くその男をグランはまるで人質に取るように自分の首に手を回した。
「なっ、テ、テメエ!」
そのグランの突然の行動に慌てていたのは、なぜか強盗団達だった。
「……こいつがお前等の作戦参謀のボスだろう?」
グランの言葉にミストはさらに言葉を続けた。
「さっき、この男が蹴ったテンポもモールス信号の0だ……これからどうするか、状況に応じてこの男から指示を得ていたんでしょ? おそらくここからの脱出手段もあの男からもうしばらくしたら受け取る予定だったんだ、さっきの僕が人質になると言った時、この男がとっさに机を蹴ってモールス信号であなた達に何かを伝えたのがその証拠だ、おおかた0はOKとでも取り決めていたんだろう? そしてさっきの話の内容から察するに、お前等はこいつの指示が無ければ何も出来ない……完全にその男はグランが人質に取った……想像するに、あんな安全な場所にリーダーがいたのは、仮にあんた達が捕まってもリーダーだけは人質として助かる様にとリーダーを大切に思っていたからだろう? 逆に言わせてもらうよ、あの男が殺されたくなければ、自首をしろ」
最初のコメントを投稿しよう!