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ただグラヌスへの扱いは悪くなかった。 グラヌスは常に豪華絢爛なドレスを身にまとい、かつての生活よりも豪勢な食事が振舞われた。 初めの数日間、水しか飲まないグラヌスに、ランドリッヒはその国では珍しいライチという果実を与えるようにした。 空腹と、主人の優しい根気に負け、グラヌスもライチだけは食すようになった。 そして毎日、ススが部屋へやってきて、風呂を嫌うグラヌスの世話をした。 その間、ススはランドリッヒの素晴らしさと優しさを話した。 「ぶひふぴ。貴女も早く、ランドリッヒさまのすばらひさに気づくといひわ」 その話になると、グラヌスは染まってたまるかと、窓の向こうに広がる空へ心を移した。 口で息をし、鼻から音を出す豚の娘を、グラヌスは心底嫌った。 「そふそふ。このドレスを貴女にあげふ。あたひはもう着れないから」 ススは自分のお古を、グラヌスへ与えた。それも気に入らなかった。 黙れこの豚。と、何度も言いかけたが、グラヌスは沈黙を守った。  
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