夢想

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 これが自己満足かと言われれば、はいそうですとすんなり答えることが出来る、気がした。 だいたい、人間なんて皆自己満足で行動するもんでしょう、ねえ? 誰に聞いてるわけでもないよ。 これは、単なる自問自答。 だって、何かしら考えてないと多分耐え切れそうにないから。  ……本当、今日の私はどうかしてる。  ――たまたま。本当に偶然に、気まぐれに、体育館裏を散歩しようと思ったのが間違い、いや、間違いというか原因。  誰もいないだろうという私の推測を綺麗に裏切って、そこには結構な人数が群れていた。 しかも、揃いも揃ってうちのクラスの面子ばかり。 ほとんど、ってか全員女子だし。 大方女子会とやらでも開いているのだろう、と普段からあまりクラスとの交流のない私は完全に無関心にそう判断して、関わるのも面倒なのでさっさと立ち去ろうと踵を返そうとした、まではよかった。 問題はそこからだ。  一歩足を踏み出した瞬間、啜り泣きのようなか細い声が耳に届いた。 思わず振り返ったけれど、如何せん女子の数が多くて誰が泣いているのかが判らない。 それでも、多分あの大半の女子がその泣いている子を慰めているわけではないということだけはわかる。  そもそも、一人を慰めるのにこんな体育館裏、しかもクラスの女子が総動員で出るわけがない。 というわけで、私の中には一つの可能性が浮かび上がった。 イジメ。  現実にないと思っていたわけではない。 テレビのニュースとかでもよくそれで自殺した学生が報道されているし。 でも、私には無関係なものだとは思っていた。  相当な理由がないと、イジメなんてしないでしょ普通は。  日常茶飯事に耳にする悪口、陰口なんてものもイジメの内に入るのかも知れないけれど、私にとってそれは別にイジメのライン内には入っていない。 そんなものは単なる相手のストレス発散なのだ。 取り合う方が馬鹿馬鹿しい。 というわけで、目の前の光景は私にとってある意味衝撃的なものだった。 だからこそ、信じ難いものもあったのだけれど。
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