374人が本棚に入れています
本棚に追加
少し生温い風が、僕の前髪を揺らした。
「雨でも降りそうな風だね…。」
前方を不機嫌そうな顔で歩く人物に、声をかけた。
「あぁ…。」
彼、斎藤一くんは、僕の持っている御菓子を見て呆れていた。
「そんなに機嫌悪くならないでくれる?近藤さんと山南さんにも頼まれて買ったんだから!」
僕が口を尖らせていると、一くんは「分かっている。」ってだけ、返答して歩く。
こう言うところ、誰かさんにそっくりなんだよなぁ…。
屯所への道を歩いていると、不意に一くんがピタリと歩みを止めた。
「…一くん?」
最初のコメントを投稿しよう!