374人が本棚に入れています
本棚に追加
木の枝が大きく揺れた。
と、同時にするりと手の主が枝から転げ落ちた。
ふわり。
再び吹く風。
その風の先に、良く見慣れた人物が居た。
彼は、木から転げ落ちた人を、何事も無かったかの様に抱き止めた。
「真田?」
「悠くん?」
真田悠利。本名は夜月悠哉。一くんを慕っている平隊士だ。
「真田、その者は?」
ゆっくり彼に近付く一くんは、いつでも刀を抜ける様に、左手を刀の柄に添えた。
「斎藤さん。これは、私の妹です。」
「妹?」
僕が聞き返せば、彼は「はい。」と答え微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!