【文久3年 10月】

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「これは、生き別れた三つ子の末の子。名は、【夜月紫苑】と申します。」 彼の本当の素性は知っている。 彼は”未来から来た。”のだ。 その時の名が、【夜月悠哉】だった。 彼はとても愛しそうな眼差しで”妹”を見た。 近くまで寄った一くんは、ピクリと体を固まらせ、ゆっくり彼と彼女の顔を交互に見た。 「……これは……。」 ふふっ。と優しく笑う顔は、昔から知っている笑み。 「似ている?」 「………似ているどころではない。」 僕が聞けば、一くんは驚いたまま僕に振り返った。 「そんなに驚くッ……!!」
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