【時空蝕】

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紫苑は再び足を動かす。 一歩手前に出た足を、風は追い掛ける様に再び絡み付いて来たのだ。 紫苑は慌てて走り出した。 ただただ走った。自分の部屋に飛び込む様にして入る。ふっと、あるものが視界に入る。 それは、両親から渡された【五月刀】の一つ、【風月】だ------。 ”お願い!!” 紫苑はすがる様な思いで風月を手に取った。 すると、途端に風が全身にまとわり付いてきた。 ”嫌だ-------!!” ”誰か-------!!” 風の圧迫感。声は届くことのない声となって、かき消される。 ”助けて------!!”
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