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「ほう…隠れておったワシを見破りおったわ」
嬉しそうに頬を緩めていると、背後に人の気配がうまれる。
「ご機嫌ですね…何かありましたか?」
と、顔色を確認すると、女性の声が尋ねてきた。
「今年の児らは育てがいがあるぞ」
その言葉で理解したのか、声をかけた女性も微笑む。
彼女にとっても楽しみで仕方ない事なのだ。
二人は昂斗が校門を出るまでその場から見送る。
だが、昂斗が校門を出た瞬間には二人とも音もたてずに消えていた。
昂斗は15分程度の道をゆっくり家に向かって歩いていく。
そこである不安がよぎる…
今、家には瑠璃が一人…
何もせずに「待っている」はずがない!
昂斗は焦って走り出した。
5分後には家に着き、カギを開けようとカギを差し込み、回しきり。
何の覚悟かはわからない覚悟を決めて…ドアを開くと…
料理の途中だったのか、エプロン姿の瑠璃がキッチンの方から顔を覗かせてくる。
昂斗は普通にあがろうとすると、火を消して瑠璃が出迎えてくれる。
「にぃや、おかえりなさい。早かったね」
「ただいま、瑠璃」
そんな会話をしてキッチンに向かうと、いつもより一品多く用意されている気配が満載だった。
昂斗がキッチンの入り口で立ち止まると、チャンスとばかりに瑠璃が抱きつく。
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