3人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
いつものことなので、昂斗は動揺しなかったのだか、少し体が強張っている。
「にぃや、どうしたの?抱きつくのダメだった?」
「いや…抱きついてくるのはいいんだよ…けどな、また創作料理に走らなかったよな?」
最後の昂斗の希望、それを口にすると、瑠璃がニコニコと嬉しそうにする。
「にぃや、よくわかったね。今日は最高のできだよ!」
………なんだって…
最高のでき?
ハハハッ…帰るのが遅かったか…
瑠璃には危険がある。
第一に極度のブラコン、ヤキモチを妬くほどでさ。
第二に監視していないと創作料理に走ってしまうところだ。
厳重に注意したおかげか、今ではほとんどが普通の料理なんだ。
ただ…俺を驚かせようとするのか、たまに、帰る時間が違うと作る。
それが約90%、ハズレなんだ。
ハズレで今までに一番酷かったのが…
魔力を2日ほどまともに使えなかった。
…いつものテーブルの上には美味しそうな料理が並んでいるが、名前の知らない料理が一つ置かれていた。
「これは?」
怖いながらも指を指して聞くと、
「…瑠璃ちゃんスープだよ」
昂斗は何も言えずに食べ始めると、「スープ」以外を完食する。
「にぃや、はいスープ」
最初のコメントを投稿しよう!