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「普通にやるだけでは味気なくありません?」
「賭けか?」
はい、と返してくる。
「賭けるのは…自分…で、どうでしょう?」
「…いいよ。」
言ったシャルアナも、応えた昂斗も不敵に笑う。
バラシャは準備が整ったのが見えたのか。
「始め!!」
ただ一言、だが昂斗とシャルアナにとっては祭りの始まりだ。
昂斗とシャルアナは同時に詠唱を始める。
詠唱は集中し、イメージを強めるための自己の言葉。
「我行くは真紅の道、すべてを燃やし、すべてを造り出す道。獅子を越え、龍をも越えんが道。今こそ、我が道よ具現せよ!」
シャルアナが詠唱すると、火柱に彼女が呑まれ、そして数秒もすると、炎が霧散する。
そして現れるは、真紅の魔力を纏いし紅き軽鎧を纏う、姫君と呼ばれてもおかしくない姿のシャルアナ。
彼女を知る者は、この姿の彼女を『真紅の姫君』と呼ぶ。
金髪だった髪は紅く染め上がり、ストレートになる。
綺麗でありながら棘を持つバラのような印象を持つ。
昂斗も負けてはいない。
「我、天をも貫き、敵を討つ。我、光と化し、闇を破る者なり。神速は我が力、光とは我が姿、天を貫くは雷なり。我が力よ姿を示せ!」
昂斗の周りに無数の雷が落ち、その場全体に光が満ちる。
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