第4章

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シャルアナはテーブルの昂斗の近くに座り、顔をほんのり赤くしている。 刀亜も胸を締め付けていた布(さらし)を取り去り、できるだけ昂斗の近くに座る。 そんな姿を見た母と娘は、視線をかわしあう。 そして臨戦体勢で席に着く。 「じゃあ、食べよか。急いで作ったからおいしないかも知らんけどシャルアナさんも風魅も食べてな」 それを合図にみんな食べ物に手を伸ばしていくが、いつも一番手に手を伸ばす零が動かない。 「なぁ、タカ…あんた、いつ戻ったんや?」 「さっき…安心してや、あれは使わんから」 その言葉を聞いて安心したのか瞬間に大量の料理をかっさらいにいく。 そんな横暴を許さないのが瑠璃。 「お母さん、みんなで食べてるの…ダメ」 零はむくれながらも行儀良く食事を再開しだした。 あの母親も娘の前では形無しだな~ 昂斗はそんなたわいのないことを思いながら箸を伸ばしていく。 シャルアナや刀亜も楽しんで食べてくれているみたいだ。 「にぃや、どうしたの?静かになって」 瑠璃が話しかけてくると、昂斗は予想外のことに驚いて咳き込む。 「ごほっ……いやな、こんな食卓はええなと思ってな」 それにはみんな同意しながらもくすりと笑ってしまう。
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