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「暁元郁(アキモトカオル)…か?」
驚いた風もなく礼儀正しくお辞儀をする。
「初めましてと言ってもわかるのですね……どうするのです?」
「どう……とは?」
「学園長をどうするかですよ…やっと貴方が復活したんです、私たち弟子たちにできることがあるはずなのです」
昂斗は静かに墓を見ていた視線を暁元の方へ向ける。
「あんたたちは自分の家の弟子たちに精一杯、できることをしてやってくれ……決着は息子の俺がつける」
覚悟を口にすると、暁元は目をつむりお辞儀をして背を向けて歩いていく。
昂斗は同い年の同門のライバルだった少年を見つめ続ける。
「幸せになりや……」
昂斗も逆方向に歩みいく。
自分の力と正面から向き合うため…
そして、父を殺したあいつの罪を白日の元にさらすため…
今は、墓には振り向かず、去る。
墓地を出ると、そこには瑠璃が待っていた。
「にぃや、おかえり…あいさつしてきたの?」
「そうやな、あいさつかな」
少し煮え切らない感じで返した言葉だったが、瑠璃は追求せずに横に並んで歩いてくれる。
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