3人が本棚に入れています
本棚に追加
なぜか、瑠璃の背中からドス黒いオーラが漂ってきている。
オーラが濃くなる度に空気が薄くなっている気がする。
まあ、気がするだけなのだが…
昂斗は数センチずつ離れていく。
そして背を向けて走り出す。
……足音が聞こえない。
というか前に進めない。
体を浮かされて動けなくなっているのだ。
「る、瑠璃!?なんでとめるねん!」
「にげるから」
もっともで…
「俺が何をした!?」
ロープで縛られながら抗議するが、なかなか滑稽な姿だ。
そんな昂斗に一歩、また一歩と近づいてくる。
その度に訳もわからず震えてしまう。
ついには捕まり、地に足が着く。
「にぃや…シャルアナさんと一緒にいるため?刀亜ちゃんの面倒をみるため?」
「だから、仕事を少なくするためだって」
「本当?ならハグ」
昂斗は強張った笑顔のまま、瑠璃にハグ……
そばで羨ましそうな目で見られると生きた心地がしねえ。
楽しげな雰囲気だったのがアラームの音に固まる。
皆の表情が固まり、だんだん青ざめていく……
「ち、遅刻する!?」
瑠璃がなんとか声を出し、みんな用意を始める。
昂斗はもう終えてるからソファーに座り込む。
意外なものに助けられた昂斗は深く息を吐き、初めて無機質な音に盛大な感謝を送った。
最初のコメントを投稿しよう!