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それに、動けなくなっていたのは魔法のせいではなかった。
ただの魔力の強さ、軽い波動を受けただけで一歩も動けなくなってしまったのだ。
「母さん並みやな・・・」
今日の実践が無事に終わることだけを祈るしかない。
昂斗は静かに待機場所まで戻って教員に連絡するが、一年生の言い分なだけに聞く耳をもってはくれない。
零も危険な空気を感じとったのか、周りを気にし始めている。
それを見た昂斗は少し安心して、「天」の仕事に集中していく。
みんなが各小隊ごとに散開すると、いきなり悲鳴が響き渡る。
天のメンバーと教員が急いで向かうと、危険とまではいかないが、ショック状態の小隊メンバーが倒れていた。
それもその小隊全員だ。
魔力が周囲に少しだけ残り漂っている。
「先生!全体に連絡!」
放心状態になりかけていた教員に言って昂斗は違う方向へ行こうとする。
「昂斗!応援にいくまで耐えなさい」
零が昂斗の背に向けて言葉を送る。
「了解」
地面を蹴り、走っていく。
状況を聞いた瑠璃たちも零に合流して、ショック状態のみんなを助けていく。
昂斗は走って5分もしない内に目標を見つけて対峙していた。
「あんた、なに者や・・・」
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