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――初めて触れた感触。
生きた人間の肌。
生暖かく、柔らかい。
白い結晶がちらつく中、手を擦り合わせ息を吹きかける姿が目に入る。
…ああ、空気中の温度が冷えてきたのだな。
先程までは温かった其れも、徐々に熱を奪われ始め、頬はうっすらと赤みを帯び冷えてゆく。
自分とはこんなにも違うものなのか。
不便な入れ物に閉じ込められた魂は、文句も言わずに、必死で今を生きている。
寒さに耐え、暑さに耐え、痛みに耐え。
そうまでして、何故生きる。
欲の塊である自分には、理解し難いものだった――
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