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「ねぇ、先輩。僕と恋愛しましょうよ」
わざとアタシの視界に入るように髪の毛に口付けられる。
射抜くようにアタシを見つめる視線に、ああ男なんだなぁと少し考えさせられた。
彼もアタシを抱くときはそういう目で見つめる。
「木下君にアタシを扱いきれるのかしらね」
「先輩がそれを望むなら」
耳元で厭味ったらしく笑いながら髪の毛に次々に口付ける。
こんな時、彼ならどうするのだろう、と想像し、そこでアタシは自嘲気味に軽く笑ってパソコンから立ち上がった。
絡まずに通り抜けた髪の毛に木下君は少し物足りないような顔をしている。
「それじゃあ駄目なのよね」
アタシを彼から引き離して、自分の物にしたいのならもっと焦がれるようにねだってほしい。
アタシの頭から彼を消せるように、強く。
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