第一回

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安っぽい焼き鳥屋。 そこはアタシと彼の定番の待ち合わせ場所。 開いていた携帯をマナーモードにして鞄の奥にしまう。 仕事ではマナモードにしてポケットに入れるのに、彼と会うときはいつもこうだ。 息を一つ吐き、前髪を軽く整えて、暖簾をくぐって中に入ると彼が嬉しそうな顔で微笑んだ。 「那月」 どうしてだろう。 この時だけだと、この時が終われば虚しいだけだとわかっているのに。 中々どうして胸の高鳴りを抑えることができないのだろうか。
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