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「な、おま……き、きき、キスだと!?」
「いきなりでごめんね? でも、事情は理解できていたわよね?」
夢の中だからファーストキスにはカウントされないの?
巨乳赤目美人まおーがなんか言ってるが、全然耳に入らない。
「ォォオオォォォディィィイイイイインッ!」
後の俺は今の心境をこう語った。
なんか無性に叫びたくなった。巨乳をみると、元気になるんだ、と。
――今度、母親に相談しよう。
夢の世界に住んでいる女性に恋をしてしまったことについて。
「ふふ。キスは初めてだったの?」
目の前の巨乳赤目美人まおー……長いから赤目ちゃん……は優しく微笑む。
初対面だが、なぜかその表情を懐かしく感じる。
……まずは冷静に、紳士的な対応を見せることにしよう。
「きききキスなら何度もしたことがあるに決まってるじゃないかですよ!」
完璧すぎる自分に泣きそうだ。
「ごめんねー。初めてだったなんて」
可愛い。
手をあわせて許しを乞う仕草がなんともいえない可愛さ。
「気にしてないばい。君みたいな美人さんとキシュだなんて、感激でっせ」
あっれー、こんな一昔前の口調は使ったことないけど。
動揺なんてしてないのに。
「あは。君、面白いね。見たところデモン系統っぽいし、私と仲良くなれるかも」
デモ……意味不明。
「困ったな。魔王とデモン系統の人間が組んだら、いくら俺でも勝てないだろう」
いくら俺でもって……自分をどれだけ高く見てるのさ。
残念な人。イケメンなのに。
「私にも『死にたくない』って気持ちはあるみたい。生きるための大きな可能性を見つけてしまったら、覚悟を決めていてもその可能性にすがってしまうわ」
ゆっくりと勇者へと語るまおー。
距離が近いから、美しすぎる谷間がハッキリと見える。
「あの……俺はデモン系統だかなんだかとは違うと思いますよ?」
途端に漂う、何言ってんのコイツ……的な雰囲気。
夢の世界の住人に、残念な人を見る目で見られる俺って……
間違えたこと言った?
「なに言ってるのよ。君は魔の支配者のデモン系統。その証拠に黒髪黒眼だわ」
黒髪黒眼だとデモン系統なの? それなら日本人の多くがデモン系統だろ。
そもそもデモン系統ってなんぞ?
「てなわけで、あそこにいる勇者を倒してちょ」
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