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☆ ☆ ☆
断言しよう。これは夢だ。
なんとなく、直感でわかる。
その直感がなくとも――大きなクレーターがいくつもあり、巨大な炎柱が上がっているのを見て、
それとも、黒い空に、雲がひとつもないのに稲妻が光っているのを見て、夢ではないと言えるような人間はいるのだろうか。
少なくとも俺は、そうは思えない。
試しにほっぺをつねると、当然のように痛い。
あれ? 痛いぞ?
「……いくら言ってもわからないようね」
どこからか声が聞こえた。
声が聞こえた方を見ると、一際大きいクレーターの中央に、二人の若い男女がいた。
今の声は女の方だろう。
美人だ……。引き締まって、されど出るところはしっかりと出ているボディ。
長い黒髪。つり上がった赤い瞳。
お尻には、悪魔を連想させるしっぽ。黒で統一されたドレス。
…………コスプレ?
そんな美しい身体は傷だらけで、ドレスもボロボロ。
黒いドレスから見える白い肌は、まるで丁寧に洗った大根のようだ。
……コホン。例えが下手だとかいうツッコミは受け付けない。
そして巨乳最高。胸元が少し破れて、自己主張の強いそれがなんともたまら――けしからん。
「すまない。俺はお前に対して誤解していたようだ」
男のほうが口を開く。
見た目20代前半か。
金髪。金色の鎧。
……軽く吹いた。厨二乙とでも言っておこう。
同時に、イケメンは消えればいいと思った。
……いまさらだけど、一度も発言していなかったな。
「フッ……今更ね。笑えるわ」
心を読まれただとぉぉ!?
コイツ……出来る!
「本当にすまない。だが、互いに引き返せない所まで来てしまったようだ」
ただの偶然でした。
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