プロローグに拒否権は通用しません。

3/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「謝らないで。……こうなることは、私が魔王の子供としてうまれた時から決まっていたのかもね」  …………まおー?  ま、まま、まおーだと……?  この赤目美人さんは、まおーさんだったのか?  疑問を重ねるが、これはシリアスシーン……なのか?  双方の事情を知らない俺にとって、どんなリアクションをすればいいのか全くわからん。  金髪イケメン野郎は、髪の色と同じ金色の鎧を着ている。  似合ってるところがとことん腹立たしい。  この服装は……勇者さん?  ――夢にまおーや勇者さんが出てくるなんて。  俺の深層心理はどんだけファンタジーを望んでるんだろ。  ……恥ずかしい。 「あの頃にはもう戻れ――」 「黙りなさい。それ以上口を開けば殺すわよ? 私たちは勇者と魔王。それ以上でもそれ以下でもないの」  ザマァ! イケメンさんは、セリフを遮られてやがる。  頭の中では回想モードに突入してたんじゃない?  ただひたすら格好悪い。 「……では行かせてもらう」 「それでいいのよ」  金髪イケメンは大きな両刃の剣を構え、まおーさんの方へ走り出した。 「…………って、何やってんだよ!」  アホか!? 美人さんに剣を向けるなんて!  傷だらけの二人の身体を見て、なんとなく予想はついたけどさ!  痛みはあるけど夢だから怪我をすることもないだろう。  自分にそう言い聞かせ、我慢できずに大声を出す。 「黒髪黒眼……だと?」 「あら、運は私に味方をしてくれるみたいね」  突然現れた俺を見て、二人は目を大きく開いた。  だがまおーさんはすぐに行動を起こし、俺に向かって目にも止まらぬスピードで走ってきた。  金髪イケメンもあわてて追いかけてくるが、スタートが遅れてまおーさんに追いつけていない。  あまり離れていないこともあり、まおーさんはすぐに俺がいる場所にたどり着き、  次の瞬間。  まおーさんは俺にキスをした。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!