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「…っ嫌だ。」
顔を歪めてそう言う紫音。
嫌だって言われても…浮気繰り返してるのはそっちじゃん。
紫音に冷やかな目を向ける。
すると1人状況を理解していない浮気相手が声をあげた。
「何言ってんの、あんた。別れるもなにも…紫音と付き合ってるのは僕なんだから!!」
…ふーん。
そうなんだ。
じゃあ俺の方が浮気相手だったってことか。
「は!?何言ってんのお前!違うよ、朔っ!俺が好きなのは朔だけだからね。」
必死な顔でそういう紫音。
しかし相手はそれに不満を持ったらしい。
「なにそれ!!最低!僕帰るっ。」
キッと俺を睨み付けた後教室を出ていった。
室内が途端に静かになる。
先に動いたのは紫音だった。
俺を優しく包みこむように抱き締めるとぽつりぽつりと呟く。
「…ごめん。何度も何度も浮気して。だけど信じて。愛してるのは朔だけなんだ。だからお願い。…別れるなんて言わないでよ…。」
振り替えれば、そこには哀しげに目を伏せる紫音が居た。
…何で浮気してる方がそんな顔すんのさ。
絶対おかしい。
だけど、俺がこの顔に弱いのも事実で…
「…仕方ないな。次はないからね。」
結局また許してしまう。
なんてね。
そう何度もうまくいくわけないじゃん。
浮気を何度も許せるほど俺、心広くないから。
だいたいこいつだけ浮気してもOKとか不公平でしょ。
……そうだ。
俺も浮気すれば良くない?
それなら平等だし。
何で今まで思い付かなかったんだろう。
さっきのこいつの理屈だとさ、紫音のことを一番好きでさえいれば浮気してもいいってことだよね。
何だ。
「俺も浮気すれば良かったんだ…。」
「っは!?」
無意識に呟いた言葉に紫音が反応する。
「ちょ…朔、え!?だ…駄目だからね?浮気とか絶対…」
誰と浮気しようかな…。
そういえば、昨日告白してきたやつに返事してなかったな。
調度いいや。
返事しに行こっと。
「じゃ。」
そう言って教室を出る。
紫音が何かいってたけどとりあえず無視しといた。
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