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四月。桜舞う季節。
高校三年の始業式。クラス替え後初のホームルームで恒例の自己紹介。
先生が名簿を読み上げ、呼ばれた人から自己紹介する。
知った顔も多いけどまったく見た事ない人もいる。正直面倒だがクラスメイトを知る良い機会だ。
「赤西 麻菜」
「は~い。麻菜でぇ~す。好きな食べ物はミートスパゲッティです!てへっ!よろしくね~!!」
あぁ。こいつは確か一年の時一緒のクラスだったな。あまり得意じゃない。ていうか嫌い。
クラスのムードメーカーっていうやつか?皆から好かれてるように見えて影で悪口を言う人は多かった気がする。
まあ、皆から好かれてる人なんて存在しない。と、俺は思う。
「飯島大輔」
「はい。・・・えぇと、好きな物は電車とか・・・。あぅ、え、と、よろしくです・・・。」
こいつは初めてだな。
明らかにクラスで浮くタイプだな。だけど、俺はそういうタイプの人間は嫌いじゃない。
後で話しかけてみようか。
「板野 シゲル」
「あ、はい。」
俺だ。
「えー、板野です。好きな物はカレーです。よろしく。」
小学生か。我ながら情けない。
俺は板野シゲル。地味。これといった特徴は無し。
体育祭。文化祭。合唱コンクール。目立った事がない。
目立ちたくない。
人前に出るのが苦手だから。
それが、俺。
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