一章

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照りつける太陽に溶けそうなアスファルトを予想していたワタシには、少々期待外れであり、甘ったれるなよと天から警告を受けているような雨模様である。 ワタシはまたインドにやってきた。 敢えてチェンナイから入国したことに大きな意味はない。 ただ何となく南側からぐるっと一周インドをゆっくり旅したかった気分だったのだ。 押し寄せる人の波をかき分け、空港から一歩踏み出す。 ワタシは深呼吸をした。微かに香る香辛料の匂いと雨の匂いに思わず笑ってしまった。 ようこそ、現実逃避へ。 ワタシはポツリと呟いてリキシャに乗り込んだ。
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