16人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
1.
クリスマスイヴの夜を過ごしたファイヤーママ。
おいしい食事と、おいしいワインを取りながら。
幸せな気持ちで、大好きなあなたと。
あたしは、大切な夜を過ごした。
そして。
あたしのお部屋に、あなたはやってきた。
ゆっくりとしたキスを交わしたその後で。
あたしとあなたは、言い争いをした。
あたしには、分からなかった。
なんであなたは、そんなにも怒るのだろう?
あたしは、ただ。
あなたと一緒に居たかっただけなのに。
あなたは、突然仕事を辞めて。
そして、遠い場所にひとりで行くとあたしに告げた。
あたしは、あなたと一緒に行きたい、と言った。
でも、あなたは。
それを、許してはくれなかった。
そして。
あなたは、あたしの前から姿を消した。
どこに行くのかも告げずに。
あなたから届いた、最後のケータイメール。
そこには、
「もしも、俺のことをまだ好きでいてくれたなら、来年のクリスマスイヴの夜8時にファイヤーママで逢おう」って。
それだけが書いてあった。
どうしてあなたは、消えてしまったのだろう?
あたしをひとり、東京に残して。
あなたからの連絡は、それ以来ぷっつりと途絶えた。
あたしの恋の炎は今、確かに消えかかっていた。
あなたと過ごした一年。
あなたがいない一年。
あたしにとっては、違いすぎる一年という時間。
あなたは。
きっと、あたしが必要じゃなくなったんだって。
しばらくの間、そんな風にあたしは思っていた。
そして、あたしは。
腰まであった長い髪を、バッサリと短く切った。
あたしは、それでも。
あなたのことを信じて待とうと、だんだんと思えるようになった。
幸せすぎた時間が、そうさせてくれたのかな?
ううん。
それは、きっと違う。
だって。
あたしは、あなたの本当の気持ちに、気づくことが出来たんだから。
最初のコメントを投稿しよう!