僕とあいつと猫の神様

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僕は小さくて頼りない。けど、暖かくて明るく見えるその背中に向かって声をかける。 「あのさ。」 あいつは猫の顔をティッシュで拭って、何やら形の変な毛糸の物を猫に差し出そうとしていた。 「ほぇ!?」 変な声出してる。驚かせてゴメン。 「こないだの事だけど。ゴメン。猫がお気楽極楽で馬鹿なくせに何を考えてんのか分かんないなんて言っちゃって。こいつらも一生懸命生きてんのにな。」 「何の話?」 怪訝な顔をされた。あれ? 「だから、こないだ猫の事で喧嘩しただろ?」 僕も合わせて怪訝な顔になる。もしかして、猫に夢中で僕の存在を忘れてたとか?それはそれで困るけど……。 「何それ。私がその事で怒ってると思ってたの?」 「……え?違うの?」 ヤバい。あいつの顔がどんどん険しくなってきた。 「私が怒ってたのはね!あんたが何でも願いを叶えてくれるお稲荷さんで『ずっと一緒』って約束してくれないからよ!」 つまり、こういう事だ。 僕は彼女とお稲荷さんに行って『ずっと一緒』って誓いを断った。だって、急に言われたら焦るだろ? それで、黙ってしまった彼女に焦ったまま猫の話をしたんだけど……。『もういい!』って怒って帰っちゃったから、てっきり僕は猫の事で喧嘩したと思ってたんだけど……。 「ごめん。」
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