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「ごめんって何がごめんなのよ」
「ん。いろいろ。全部含めてごめん。」
ニィ
猫が何の悩みもなさそうな声で鳴いた。彼女は猫を抱き上げてこっちを見る。
「あのさ?僕も本当はずっと一緒に居たいって思ってるんだよ!でも、何か神様の前でそれを言うのは恥ずかしいって言うか、ご両親に会うようなプレッシャーって言うか……。」
「もう良いよ。」
彼女は笑ってた。改めて、ずっと一緒に居たいなって思う。
「私も意地になってた。ずっと一緒なんて、神様に叶えて貰うモノじゃなくて、2人で叶えるモノだよね。」
猫をひょいと僕に渡すと、毛糸で出来た変な形のモノを僕の首に回す。…あ。マフラーだったんだ。
「あのさ。こいつ。僕の家に連れて行くよ。親には反対されるかもだけど、こんなに寒いんだから、追い出されないと思うし。」
「ありがと。」
片手で猫を抱いて、余った片手で彼女の手を握る。猫の神様は居なかったけど、何でも願いを叶えてくれるお稲荷さんにも行かなかったけど、それはきっと僕達の未来は僕達で作らなきゃいけないからなんだと思う
「来年も。一緒にいれたら良いね!」
彼女が僕を見て笑う。
そうだ。こんな毎日が続けば良いな。両手に確かな暖かさを感じながら、僕も彼女に笑顔を返した。
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