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けど、具体的にはどういった猫なんだろう?隣町としか聞いてないし……。
そんな事を思いながら走っていると近くに猫を見付けたので近づいてみる。……引っ掻かれた。
僕って猫に嫌われてるのかな……。
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「結局どれなんだよ……。」
神様が猫だなんて漠然とした噂、どの猫だなんて分かるわけない。
猫は色々いるものの、どの猫からも引っ掻かれたり噛み付かれたり。猫って噛み付く動物だったんだね。
空を見るともうさっきより明らかに暗くなり、大分時間が経った事が分かる。
「はぁ、相当嫌われてるなぁ。これ。」
さっきから独り言が多くなり、もう諦めようとまで思えるほど、僕はネガティブになっていた。
「猫に喧嘩の内容でも聞かれたのかね。」
また独り言を呟き、近くにある石ころを蹴る。
「…………ん?」
と、その石ころを蹴った方向に草むらで隠れてよく見えないが、誰かしゃがんでいるのが見えた。
「………?」
無意識に近づいて行くとだんだんと暗さでぼんやりしていた形が分かり、次にそれは見知った顔だと分かった。
「あいつ!」
また無意識に声が出ていたが、ギリギリ小声であいつには気付かれてないようだ。
しかし、何かを感じたのかあいつはこちらを一瞥した。それとほぼ同時に僕は近くの草むらに隠れる。
あいつは疑問に思いながらも、どうやら気のせいだと思い、何かへと向き直った。あ、危なかった。
どうやらあいつは何かを見ているようだけど……。
「んー?あー?……………!猫!」
しゃがんで見ているのが猫だと分かりまた、声が漏れ出る。
が、何かに夢中なのか気付かれずに済んだ。
くそ、あの噂、本当だったのか?
だとすれば最悪だ……。
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