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世の中は私が落ち込んでいたって平気で動いてる
ていうか、何だかいつもより騒がしい気がする
「……ネコ……捕まえて……」
うん。何だか、猫とか捕まえるって単語が学校じゅうに吹き荒れてる
なんだろ?誰かの家の猫がいなくなったのかな?
「……8キロ……願い事……」
8キロ?ホントに猫の話なんだろうか?
ていうか、今は願い事の話は聞きたくない
誰かの雑談から耳をそらせて、学校を出る
私は私の猫に会いに行こう
「そうだ。マフラー」
お父さんのクリスマスプレゼントには悔しいし、どうしようか困ってたけど
「良い事を思いついた」
顔がニマニマする
放課後、まだ3時過ぎだって言うのに、空はすでに薄暗い。
「さっぶいなぁ。もう!」
コートの前をしっかり合わせて駅前を足早に通り過ぎる。
3日前。彼氏と喧嘩した後に、1人でフラフラと隣町をさ迷ってた時に、出会った秘密の場所へと向かう。
「うちで飼えたら良いんだけど」
私の住んでる所はペット禁止のアパートだから、ワガママは最初から言えない。
北風に押されるように枯れ草の生い茂る空き地へとやって来た。
ニィ
「良かった!生きてる!」
段ボールには「拾ってください」の拙い文字の手紙が貼ってあって、最初は5匹いたような事が書いてある。
今はこの子。1匹だけ。
マフラーを先にあげようかと思ったけど。やっぱりお腹空いてるよね!
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