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夢を見た。
優くんに始めて会った日の夢。
病院の中を散歩してたら、すごくかっこいい男の子がいた。
かっこいいなって思って見てたら、友達が来てその男の子に必死に謝っていた。
その男の子はすごく優しい笑顔で「気にすんな」って言ってどこかに行ってしまった。
わたしはその男の子の跡をつけた。なんとなく気になったから。
その男の子は人がいないことを確認して、静かに泣いていた。
あとで看護士さんに名前を呼ばれているとこを見て、その男の子が優くんだということを知った。
優くんは、俺が優しいかなんてわかんないだろって言ってたけど、わたしにはわかるよ。
どうして泣いてたのか知らないけど、友達に心配かけちゃいけないって思ったんでしょ?
泣くのを我慢して必死で笑って、すごく強くて優しい人だと思ったの。
だから好きになった。
優くんは泣いたことを知られたくないだろうから言えないけど、わたしはちゃんと優くんが優しいの知ってるからね…。
「未来ちゃん」
看護士さんの声が聞こえて目を覚ました。
「夕食を持ってきたわよ。随分幸せそうだったから起こそうか迷ったんだけど…」
看護士さんは申し訳なさそうな顔でこちらを見た。
「あ、ありがとう」
「なにかいい夢見たの?」
「うん。すっごく」
「よかったわね。それじゃ、ご飯食べてね」
「あ、はい」
看護士が出て行った後もわたしはご飯は食べずに横になっていた。
もう一度寝たら夢の続き見れるかな。
優くんに会いたいな。
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