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昼下がりの気持ちの良い時間帯。 真夏の暑苦しさはもうなくて、のんびりと穏やかなお日様の光を浴びながら校舎の一角を見つめる。 あそこであの人は真剣な眼差しで生徒会の会議をしているのだろう。 その目を想像するだけでゾクゾクする。 切れ長の凛々しい目、闇を吸い込んだような瞳の色。 あの人が僕を見てくれるのならばどんな事だってやってみせる。 外野の野次だって知らんぷりするし、何をされても我慢する。 だけどあの人は僕を見てくれないし名前も呼んでくれないし呼ばせてもくれない。 それを辛いだなんて思ってはいけないのも分かってる。だけど、辛いものは辛い。 .
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