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小さく呟くように言うのだけれど、悪口は自然と聞き取れてしまうし、口々に言うものだから密かなざわめきとして空気で伝わってしまう。
僕は俯いて長い前髪と大きなレンズの眼鏡で顔が見えないようにした。視線が突き刺さって血が吹き出てしまいそうな感覚。クスクスと馬鹿にしたような笑いを無視して急いでその場を潜り抜けた。
あの人は歩くのが早いから普段はとても大変に思うけど、朝と帰りのこの時間はそれに救われる。
「あんなゴミ虫みたいなのがお付きだなんて」
「釣り合わないにも程があるだろ…」
「鏡見たことないのかよ」
こんなことを言われているところなんて見られたくない。
僕にもちっぽけだけどプライドってものがある。
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