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絶望の死神が近寄ってきた──
それは姿形は無くともそこにいて──
横たわる私に鎌を振り上げ──
容赦無く──
「────!!?」
目が開いたが、そこは血の池の真ん中だった
普通こういうときはガバッと起き上がったりベッドから転げ落ちるのがベタな展開だが、血圧が低いとそうはいかない。
視線だけを動かし辺りを確認する。
血の池かと思ったのは綺麗に統一された壁紙と天井の色で、ふかふかのベッドに寝ているのが分かった。
「……ベッド?」
普段目を覚ますと木目天井と薄黄色く色褪せた畳、煎餅布団がお出迎えしてくれる。
起き上がり、記憶の糸を手繰り寄せる。
「……山に登って、景色を堪能して、それで。
……そうだ頭痛がして」
頭を触る、穴が空いたような形成も熱したビーダマを入れたような痛みもない。
「なにこの、ワイシャツ?」
頭を触った時に寝巻きに相応しくない肌触りに違和感を覚えた。服を確認すると下着と妙にサイズのあうワイシャツだけだ。
訳が分からないことだらけの室内にノックの音が響いた
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