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それは、きっと最悪な出逢いだった。
私は、また君に出逢ってしまった。
どうしたの?って小首を傾げる仕種も。
大好きなこの仕種も。
なんだか、嫌で嫌で仕方ない。
ドアの入口付近で立ち止まってる私は、まだ動こうとしはしない。
じっくりこじぱを凝視して、そのまま。
だって、近付くとバレてしまいそう。
こじぱにバレてしまいそう。
今の私は、違うから。
こじぱが知ってる私じゃない。
「えっ、誰ですか?」
ふたりしかいない教室に響く声。
私は、彼女に嘘をついた。
さっきまで笑顔だったこじぱの顔が歪んでいく。そんな悲しそうな顔をしないでって言えるはずもなくて。
「でっ、でも、…大島ゅ────」
「──────人違いじゃないですか?」
名前も一致。顔も一致。
そんな偶然あるはずないって。そんな顔してこじぱは私を見つめる。
教室の中はまだふたりだけ。
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