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「どっか隠れる場所ないかな……」
家の外はいつもと変わらない。もしかしたらあの手紙も間違いだったんじゃないかと思うほどだ。
しかし、町全体が纏っている空気は尋常じゃ無いほどに張りつめている。
辺りを警戒しながら移動していると向こうからやってくる兵隊の大群を視界に捉えた。
急いで民家の陰に身を隠す。
「国王の命により中二病患者を殲滅する!中二病患者を見つけ次第我らに報告するように!」
張りつめていた空気が弾けるように周りを歩いていた人がざわめき出す。
しかし俺は周りの空気そっちのけで兵隊一人一人が着けているゴーグルのようなものにみとれていた。
「尚、我らはこの特殊なゴーグルにより中二病患者を発見することが出来るようになった!中二病患者はこそこそ隠れず大人しく出てきた方が身のためだぞ!」
それを聞いて我に返った俺は静かに後ずさりをした。
だがそこで運悪くおばちゃんにぶつかり、ポケットからあの赤い紙が落ちてしまった。
ぶつかったおばちゃんが俺を畏怖した目で見てくる。
「いや違うんですよ、これは……」
折り紙ですよ、と誤魔化そうとしたが遅かった。
「赤紙よぉぉぉ!!!!」
おばちゃんの叫び声が晴れ渡った空に響き渡る。
その声を聞きつけたのだろう。兵士達はほんの数秒で駆けつけてきた。
「発見!!」
こうして俺と兵隊の大群との鬼ごっこが幕を開けた。
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