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思わず我が耳を疑った。
今なんて言ったこの人…?
デビューって?
俺に芸能人になれってことか?
冗談か何かかと思い古川さんの顔を見るも彼女の顔は真剣そのもので、とても冗談を言っているようには思えなかった。
どう返答しようか迷っているときに、桜の木が描かれたスケッチブックが目に入った。
「今じゃなくてもいいのよ。また今後改めてでも…」
「あの…俺、デビューとかいいです」
「え…?どうして!?」
俺の返事がそんなに意外だったのか、彼女は目を丸くしてそう言った。
それから付け足すように「詐欺じゃないわよ」とか「なんなら警察に聞いてもいいから!」とか、なんか必死になっていた。
俺はそんな彼女に小さく笑った。
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