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「俺、画家になりたいんです」 「…そう。夢があるなら仕方ないわね。絵、とっても上手だもの」 「ありがとうございます」 「でも!気が変わったらいつでもその名刺の電話番号に連絡してね。待ってるから」 古川さんはふんわり微笑むと、土手からゆっくり立ち上がり、ワンピースをはらった。 ハラハラと葉っぱが舞い落ちる。 「また、会えることを願ってるわ」 「こちらこそありがとうございました」 俺は彼女が去っていくのを見届け、受け取った名刺をスケッチブックに挟み、静かに閉じた。 この時はもう彼女に会うことは二度とないと思っていた。 しかしこの後、思いもよらないことが起き、再び出会うこととなるのだが、この時の俺は知る由もなかった。
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