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川沿いに植わって咲き誇っている桜を、柔らかなタッチで描いていく。 それにしてもいい天気だなぁ… 気分が乗ってきた俺はついつい鼻歌なんかを歌い始めた。 「~♪~♪」 今流行りの曲や、一昔前の曲、中にはゲームの曲などを口遊みながら、絵はどんどん完成へと向かっていく。 「ねぇ、そこの君」 うわ、ヤバくね? めちゃくちゃ上手く描けたんだけど。 フワリとした桜や流れているように見える川。 うん、最高傑作かもしれない。 「だから、ねぇってば!!」 「うぇっ!?」 ガシャーンッ、とすごい音がした。 突然背後から肩に手を置かれ、驚いた俺は色鉛筆の入ったペンケースを勢いよくひっくり返してしまったのだ。 「い、色鉛筆がぁぁぁ!?」 「きゃー!ごめんなさい!」 どうやらこの声の持ち主が声をかけた人のようだ。
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