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「カズヤ!」
窓から顔を出した理香は中学生だったが、理香は理香だった。
「リカ…『記憶』があるのか!?」
「カズヤ、ここ、いつなの!?」
支離滅裂な質問だが、今の俺達には当然な疑問だ。
「ここは16年前だ!お前だけか?『記憶』があるのは?」
やはり理香もわけがわからずにいたようだ。
でも良かった。
俺だけじゃない。理香もだ。
こんな状況で、俺は安堵出来た。涙が出てきた。
理香は、さすが理香だった。
親にすべて話したらしい。
本当は30歳で、結婚してて子供がいて、離婚することになったら、今昔にいて。
当然ながら親は信じなかった。
幸か不幸か微熱があり、疲れているの言葉で片付けられ、母親はパートに出かけたらしい。
親がいないので理香の家に上がらせてもらった。
「なんで?なんで?」
理香はパニックだった。
そりゃ俺だってパニックだ。
ただ考えてもわからないんだよ。
ジタバタしても始まらないんだ。
理香はよく俺に冷めきってるという。
情がないと。
でもパニックになることが情があるとも思えないよ、俺は。
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