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理香は俺への依存傾向が目立った。
何をするにも俺に聞く。
正直、四六時中、つまらないことまで聞かれるとイライラした。
それで話半分に聞いていれば
「私に興味がないのか、関心がないのか」
と問い詰めて来る。
他の旦那はもっと奥さんの話を聞くもんだとか、夫婦の意味がないとか。
非常に疲れるのだ。
でも俺は。
本当に孤独を感じた今、他でもない妻を思った。
そりゃあ無論、娘も心配だ。
でも違う。
不安だ、怖い。
もしかしたら妻ではなく、俺が妻に依存していたのではないか?
でもそれは認めたくない。
けれども会いたい気持ちは消せなかった。
通学路はわりと覚えていた。
朝友人と会うたびに懐かしい気持ちになった。
30にもなれば地元に残る奴らもごく一部だ。
そしてあたりさわりない会話から自分が中3であることを確信した。
げた箱で自分の上履きをかろうじて見つけ、真っ先に理香のクラスへ向かう。
確か…6組だ。
正月に年賀状を書くとき広げた卒業アルバムをまだ覚えていた。
しかし、理香はいなかった。
「佐々木さん、いますか?」
佐々木とは理香の旧姓だ。
俺は恐る恐る理香のクラスの女子に聞いた。
「なんでアンタが理香に用事あんの?」
そうだ、思い出した。
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