君に会いに行く

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学校から歩いて10分。 理香の住むマンションについた。 玄関の扉の横に大きな窓がある。 この窓の内側が理香の部屋だ。 だから玄関の扉を叩かずに、窓を叩けば 親にばれず、理香を呼び出せる。 そういえば、付き合ってるころ夜中に何度かこの窓を叩いたな。 …しかし。 ここに来て俺はひるんだ。 そもそも理香が俺を覚えてなんかいないんじゃないか? 俺だけかもしれない。2007年の「記憶」を持っているのは。 でも、こうもタイミングよく理香は学校を休んだ。もし「記憶」をもったままの理香ならきっと対応しきれずに意味がわからず布団に潜り込んでいるかもしれない。 かと言って俺だってこの状況に対応してるわけじゃない。 ただ理香に会いたい気持ちが今の、今までの俺を支えていただけだ。 理香の存在が支えていた? いや、違う。 こんな人知を越えた状況でまともにいれるわけない。 俺は弱気になっている。 とりあえず誰でもいいんだ。 分かち合う仲間が欲しいだけなんだ。 俺は何だか弱音とプライドの狭間で気持ちがグラグラして来た。 その気持ちを打ち消すためか、ついに窓をノックして理香を呼んだ。 「…理香、いるか?」 その瞬間、窓が勢いよく開いた。
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