ちょっとした苦しみの続き

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…………。 目が覚めると、どなた様かの家のリビングっぽいとこにいた。 っぽい。ってのは、窓1つなく扉の1つもないここをリビングと言っていいかわからないから。 閉塞感から息が苦しくなる ………俺は死んだんじゃなかったのか。 生きてたとしても、真っ白い天井とおばさん看護師が真っ先に目に入ってくると思う。 それに何より、怪我が一つもない。 “じゃあ、ここは死後の世界?” ………いや、まさか……ね? ってか、こんな発想が出てくるなんて…… …………。 進まない時計を不思議に思う。 "カチッカチッ"と音がするのに全然進まない。 テレビがあり、それをつけてみるが砂嵐になるだけ。 一人でこんな静かな空間にいるのは狂いそうだ。 探索を続けているとさっきまでなかった扉があった。 おかしいと思いながらも、扉に近づいてみる。 そして、俺は扉を開けようと手を伸ばした――― ――その瞬間。 "ガチャッ"と音をたてて、扉が勝手に開いた。 いや、開かれた。 びっくりしていると目の前に一人、男性がいた。 その人物は一言で表すなら"道化" タキシードを着ていて、右手には黒いステッキ。 顔には舞踏会で着けるような黒い仮面。 そして何よりも特徴的なのは、仮面と同化しそうな―― しかし、はっきりとその黒さが認識できる異様なほど暗い目。 ――はっきり言って、怖い。
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