ちょっとした苦しみの続き

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しかし聞かないといけないことがいくつかある。 それは…… 「貴男は……誰、ですか?」 「ここの家主ですが?」 即答だった。 まるで俺が聞きたいことを最初から知っていたかのように……… 普通はあっちが、俺にたいして聞きたいことがあるはずだ なのに、この対応はおかしい。 俺は明らかに不法侵入している。 そんな相手を前にこんな平然としてられるか、普通。 それなのに、目の前の男は楽しそうに笑っている。 全身に寒気が走りそうだ。 「あぁ、不法侵入じゃないですよ? 私が呼んだんですからね」 「え?」 何を言ってるんだ、この人。 まるで心を読んだかのように、いきなり喋り出した。 「“かのよう”じゃなく、心を読んだんですよ。」 「え?」 読心術? いや、俺は今顔を伏せてるし身体も動かしていない。 読心術では説明できない。 「わからないでしょう? 私がやっているのは厳密に言えば、読心術ではないのですからね。 雑談はここまでにして、本題に入りましょうか。」 「本題?」 俺を警察にでも突き出すのか? 「いえ、ここに警察はいませんから。 では、言いますよ? 貴方は死にました。 その原因の一つに私のミスがあります。」 ……………は?
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