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数時間後、いや数刻後。
ボクが『寝ている時って、目がまぶたの裏を見てるだけで、目は休んでいないんじゃないか?』なんてことを考えていたころ。
「んー……ん?」
さっきまでずっと瞼の裏を凝視していらした、眠りの姫様が目を覚ます。
よく考えると、この場所にボクがいるのはまずいんだよな、小夏からすれば不法侵入なわけだし。
「あ、幽夜か、おはよぉ」
気の抜けた挨拶。
どうやら、この娘はボクがこの場所にいることを気にも止めてないらしい。
「小夏、明日はボクと一緒に水瀬のところいくから。」
「みなせ?」
「うん、いつもお菓子くれるところ。」
「お菓子?!いくー!」
きっとこの子、自分が何してたかなんて、覚えていないんだろうな。
こんな事例は初めてだけど、回りを暗くするとこうなれことは水瀬から聞いていたからな。
「じゃあいますぐお風呂にはいって」「ねぇ、幽夜?」「なに?」
「わたしのお父さんとお母さん、どこにいったのかな?」
「……最初から居ないって、言ってなかったっけ?」
「違うの。いるの。あれは多分。きっとそう。」
深刻そうな小夏をみて、ついつい「実は、ボクが君のお父さんだよ」と言いたくなった。跡付けだけど。
「じゃあきっとどこかにいるのかもね。ほら、早くお風呂に入っておいで?ボクは食事を作っておくから。」
会話を終了させると、小夏はお風呂へ、ボクはそれについていって覗こうとか思わずに、キッチンへと向かった。
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