記憶

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土足で自宅に入り、ディスプレイに表示された携帯の電話番号に電話を書ける。体感時間3分。事実4秒。時間は計ってないけど、それくらい。 『もしもし?』 「水瀬、ボクがいったら小夏が倒れてた。」 『え?敷浪の家にいったのか?』 「あぁ、手っ取り早く状況を説明するー…」 手短に、必要ことだけをまとめて話す。 だけど、国語力の低いボクでは説明が足りなかったようだ。 『とりあえず明日は、二人で俺のところにこい。 今日は、できるだけ敷浪の側にいるんだ。』 「…わかった」 お礼も言わずに電話を切る。なんで無礼な、なんて怒る人は誰も居なかった。居たところで気には留めないが。 敷浪家に着き、マナー違反だけど机に座り、小夏の寝顔をみていた。 今度はキスしようとか揺すろうとかいう気分はしない。 …多分あれは、PTSDの類だよなぁ。 さっき見つけた、ボクと同じビンに入った薬をみる。 量は、ボクの数倍ある。 つまり、飲んでいないということだ。 「……」 きっと起きても小夏は思い出さない。だけど僕は覚えてる。 ボクなんだろうなぁ、原因は。 ボクも忘れられたら、ボク達はどうなるかな。 きっと、変わらないな。 今と同じ、空虚感に浸されて。 まだ理由がわかるだけいいのか。
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