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いつもの放課後。 普段であれば部活や帰宅で数分後には静まり返るこのクラスも、今では喧騒が溢れ、昼寝どころではなくなっている。 夏休みの1日前の今日。 海に行こう、山に行こう、花火大会に行こうとか、そんな話題がボクの周りを飛び交っている。 ボクはといえば、誰かに誘われるのを期待して机に座っていた。 だけど、一向に話しかけて来ようとする人はいない。 それも……そうか。 ボクは恋人もいなければ、友達も少ない。人数にすると、2人。友達って『達』ってつくから複数系、条件は満たしてる。 その少ない2人は運悪く同じクラスになることはできず、ぼっちを確立していた。 帰宅をしようと周りを見て、友達がいないのか確認する。 「あのさ、早見って絶対予定とかないよなw」 「あいつが他人と普通に話してるの見たことないわ~」 ………黙れ、リア充。 人をネタにして話すなよ、張本人ここにいるんだよ。 「なぁ早見、夏休み予定とかねぇの?」 話しかけてきやがった。 馴れ馴れしいよ、お前と話したのはこれで2回目だろうが。 「ないわけないだろ? 吸血鬼であり、姫の召し使いであるボクは忙しくて大変なんだよ」
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