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帰り道を歩きながら、ボクは小夏に聞いてみる。 「ねぇ、この中さ、何が入ってるの?」 「えっとねー、夢!」 ……脳内お花畑の現状はいまでも変わっていないようだ。 天真爛漫なその表情が、ボクは大好きです。 「夢、ねぇ……」 感慨深くツイートしてみる。するとすぐにフォローは返ってきた。 「幽夜には、夢はあるの?」 「小夏と結婚して、幸せな家庭をつくることだよ」 なんてリツイートしたら、ボクは恥ずかしさでフォローしてもらった瞬間泣き出す自信がある。 だから、胸の奥にしまっておこう。 顔を除きこんでくる小夏に、少しだけ、もうひとつの願いを込めてリツイートしてみる。 「小夏が自分を、きちんと○○○○○事が出来たらいいなって。」 「?」 わからないんだろうなぁ、きっと。 そして、忘れてる。 「なんでもないよ」 そういって頭一つ小さい小夏を抱きしめる。 あぁ、シャンプーのいい匂い。 「……っ!」 すごい力で突き飛ばされる。 わかってたことだけどさ。 「そーゆー事、急にやっちゃだめ!困るでしょ!」 許可とったらいいのかい?と、聞き返したい気持ちを押さえ付けて、謝っておいた。 「ねぇ、小夏」 「ん~?」 「ボクの事、好き?」 ……はぁ。 何がしたいのかなぁ、ボクは。 返ってくる言葉は、もう決まってるのに。 「うん!幽夜のこと、大好きだよ?」 「…そっか」 ああ。 嬉しいなぁ。 だけど。 小夏が本当に自分を○○○○○ことをしたら、ボクはどうなるんだろう。 まぁ、いっか。 あの好意が偽物だって、ボクは知っているんだから。
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