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「ありがとね、小夏。」 と、感情の入りきらないお礼にも、「どういたしまして~」と、小学生のような笑顔で返してくる。 「…あ」 急に小夏がボクに言う。 「じゃあ幽夜、わたしのこと、好き?」 なんだこれ。 自分で言った時はあんまり感じなかったけど。 バカップル感が否めない。 なんか恥ずかしい、けど。 「うん、好きだよ?」 「どれくらい?」 …この質問にベストアンサーだせる人、いるのかな?? どう答えればいいのか、基準がないもんね。 ボクの貧相なボキャブラリーで表現することは、難しい。 だから、自分の口から滑り出る言葉に任せることにした。 「そうだなぁ、逆に小夏はボクをどれくらい好き?」 ボクは、疑問文に疑問文で返しちゃいけませんって学校で習わなかったのかな? 「小夏ちゃんは、幽夜君のことを、すっごーい、爆発しそうなくらい大好きなのです」 ボク達は他人からみたら、すっごーい、爆発したほうがいいくらい、バカップルにみえるのです。 「ボクも、小夏と同じくらい小夏が大好きだよ」 恥ずかしさで爆発どころか蒸発しそうだなぁ。 気温も高いし。 と、気が付けば家の近くまでたどり着いていた。 「じゃ、また明日。」 そういってボクは、足早に自分の家へ帰る。 後ろからは『バイバイ』と気の抜けた声が聞こえたような気がする。
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