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アホくさ…… この方法を思い付いたとき、自分を天才だと思ったよ。 だけど、今思うと誰とも対戦することもないゲームを強くなってどうするんだ。 そう考えると、カンストするまで頑張った自分の時間が無駄になったように思える。 ボクはノーセーブのまま、電源を切った。 はぁ…… 時間を潰すものを失ったボクは、とりあえずリビングに下りてみる。 もう絶対通信のあるゲームをしないと心に決めて。 冷凍庫をあけて、お気に入りのアイスをあける。 ソファーに座ってテレビをつけると、お兄さんとは呼び難い年のお兄さんと、身体を左右に揺らしながら歌うお姉さん、そしてファンシーな怪物が子供達と戯れていた。 これをみると、ボクも成長したなぁって思う。この番組をみたことはないけど。 だけど、このテレビはダラダラと無駄な時間を過ごすのに向いていた。 幼児番組が中高生の番組に切り替わったころだろうか。 携帯をもっていないボクの家に電話がかかってきたのは。 1回、2回、3回。 延々とコールされる電話は煩くて、ボクの眠気を吹き飛ばすには十分だった。 ボクに電話をしてくる人間なんで、両親とアイツくらいだ。小夏は電話はかけて来ないから。 「もしもし、早見ですが。」
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