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『よぉ、俺だ』 「その手の詐欺はもう使い古されているのでやめておいた方がいいかと」 『詐欺じゃねぇよ、』 「事故起こしたとかいわれても子供いないんで…」 『……友達やめてやろうか』 「水瀬だよな、水瀬茅。ボクの唯一のまともな男友達」 『男と限定しなくてもまともな友達はいないがな』 失礼な、小夏をまともじゃないといってるのか。 ボクは小夏がまともかと問われたら、愛想笑いをする自信はあるぞ? 「それで、ボクに何がよう?」 『特にないけどさ、』 「じゃあ切るね」 『まて!お前にとっては重要なことだぞ!?』 「……」 『……切れたかな』 「切れてないよ、何なの、ボクには重要な話って」 どこか悲しい声で言わないでほしい、反応に困る。 『アレは、あとどれくらいある?』 あぁ、アレ。 一応ボクのことを心配してくれているのか。 「一週間。それまでに、追加が欲しいな」 『敷浪さんの様子は?』 「いつも通り。変わった様子はないよ?」 むしろ、変わっていない様子はない、というべきだろうか。 『そうか。だけど油断はするなよ。お前が1番わかってるはずだがな?』 「……わかってるよ もう切っていいかな」 頭が重い。 フラフラする。 『あぁ、またな』 そう残して数秒すると、電話は無機質な音を定期的に繰り返した。
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